まず当たり前のことをやろう。【リーンアナリティクスとグロースハック】
Lean Analyticsについて色々と紹介してきましたが、記事が分散して少しわかりにくくなってきたので、一旦まとめ版を作成します。
Lean Analyticsシリーズで200ブクマ以上頂いたのでがんばります!
タイトルは少し大げさに書きましたが、
ビジネスのフェーズに合わせて必要なことを見極めましょう、ってことです。
後々書きますが、グロースハックはある程度プロダクトの価値検証を終えた後にやることなので、
初期フェーズにおいてはあまりグロースハックは意識せんとこうね、って感じです。
1. Lean Analyticsとグロースハック
グロースハッキングする前にやることあるだろ!
リーンアナリティクスとグロースハックは非常に似ています。
位置関係としては、リーンアナリティクスの中にグロースハックという分野があります。
Lean Analyticsはビジネスの本質を見て、これまで言われてきたような事(Lean Startupの基礎など)や当たり前のことをしっかりやるための思考法です。 また言い換えれば、スタートアップや新規事業をトータルで考えるものです。
これに対して、グロースハックとは、スタートアップや新規事業をグロースさせるための方法やマインドセット、プロダクト設計などを指します。
はてなブックマークで「グロースハック」というタグで検索を掛けると、多くの企業のグロースハック成功体験やノウハウ、手法などが書いてある記事がヒットします。
それらの記事は玉石混交です。
「こんな施策を打ったらグロースしたよ!」というようなtipsだけが紹介されているものも非常に多い。
一方で、素晴らしい記事もあります。
この記事の最後におすすめの記事へのリンクを掲載しますが、素晴らしいそれらの記事に共通する点や大事なポイントを勝手にまとめました。
開発チームにおける
☆ 文化
☆ ビジョン
☆ 哲学
☆ 思想
☆ マインド
プロダクトに関する
★ 提供したい価値
★ ユーザー体験
★ KPIの設定
正しくグロースハッキングについて理解をしている方は、上記の項目がノウハウやtipsなどよりもまず最初に優先すべき内容だということは認識していると思います。
しかし、グロースハックというバズワードに踊らされて、足元を見失っている人も多いのが事実です。
つまり、リーンアナリティクスとは、
グロースハックを成功させるための前提条件である、チームとプロダクトの基礎からしっかり考えよう
という内容のものです。
1-1. Lean Analyticsの目的
Lean Analyticsとは、名称にLeanという言葉が含まれているように、Lean Startupをする上でのアナリティクスの手法のことです。
何を目的としているかを簡単にいうと、
①正しいKPIを使い、
②正しいプロダクトを作り、
③正しいマーケットを探すこと。
となります。
1-2. Lean Analyticsで使うフレームワーク
最低、2つのフレームワークを知っておく必要があります。
1-2-1. 5つのステージ
Lean Analyticsでは、事業フェーズを5つのステージに分類し、
その事業フェーズに合わせた適切なアクションを起こすことを狙っています。
これはLean Analyticsの中で最も基礎となるフレームワークなので、絶対に覚えときましょう。
その5つのステージとは以下の通りです。
1-2-2. AARRRモデル
これはグロースハックで使うし、リーンアナリティクスを理解する上でも必要なフレームワークです。
AARRRモデルとは、
・Acquisition(ユーザー獲得:登録や訪問など)
・Activation(ユーザー活性化:初めての利用でユーザーが”良い体験”をしてもらう)
・Retention(継続:ユーザーが繰り返しサービスを使うようにする)
・Referral(紹介:ユーザーがサービスを周りに紹介するようにする)
・Revenue(収益:ユーザーがより多く課金行動を取るようにする)という一連の施策フローのことを言います。
- kajikenさんの5分で120%分かる!話題のスキル、グロースハックとは 〜オバマが選挙に苦戦した真の理由〜より引用
事前知識として必要なので、簡単に紹介しました。
2. 正しいKPIって?
2-1. 基礎的な4つの基準
リーンアナリティクスやグロースハックを実践する上で、必須なのが正しいKPIの設定です。
リーンアナリティクスで紹介されている良いKPIの条件として、以下の4つが挙げられます。
- 比較しやすいこと
- 理解しやすいこと
- 比率や割合であること
- 我々の行動の変化を換気するアクショナブルなものであること
1〜4の中で最も重要なことは、4番目の「アクショナブルな指標であること」です。
KPIを設定し、そのKPIの数値が上下に変化したときに「すぐに行動に移せるのか?」という意識をしましょう。
また、プロダクトのゴールや目的からブレイクダウンしてKPIを採用し、それらに繋がるものにしましょう。
2-2. みんな嘘つき
リーンアナリティクスでは、 「みんな自分自身が嘘つきであることを認識し、自分に嘘をつくな」と書いてあります。
嘘つきというのは、意味の無いKPIに陶酔したり、目標が達成されなかったときに自分自身をごまかしてOKOK!とはぐらかすことを指します。
きちんと客観的にKPIを分析し、数字が全てであることを胸に刻んでおきましょう。
2-3. 何個もKPIを設置すんな!
OMTMという言葉を覚えておきましょう。
OMTMとは、One Metric That Mattersの略で、リーンアナリティクスやグロースハッキングの上で重要な原則です。
データ分析の世界では、 自分のプロダクトの現状に合わせた、非常に重要な1つだけの指標にフォーカスすべきだとされています。
追う指標を沢山設けても、片一方が伸びて片一方が落ちることが多く、
結局何が良かったのか、どう評価すればいいのかがわかりません。
また、沢山の指標を追っている場合は、結局のところ「どれが本質的にプロダクトを成長させるために必要なキーメトリックスなのかがわかっていない」場合も多いです。
したがって、その時々に合わせて、ひとつの指標を最大化できるようにビジネスを最適化させ、
その指標をクリアしたときに、その時点に適したもっとも重要である新たな指標を採用して、分析するようにしましょう。
2-4. 意味のない指標たち
リーンアナリティクスで紹介されている追っても意味がない指標を紹介します。
ヒット数 / PV数 / 訪問者数 / ユニークビジター数 / フォロワー数やフレンド数、イイね数 / 滞在時間 / ダウンロード数
意味が無いというのは、これらが結果指標であったり、ユーザー行動の理解ができないものだからです。
まず、プロダクトを成長させるためには、先行指標を採用しましょう。
言い換えれば、アクショナブルな指標ということです。
また、PV数や訪問者数、滞在時間からはグロースのための情報は得られません。
ユーザーが何をしたかわからないから、どこが評価されてどこが評価されてないか読み取ることは不可能です。
基本的には比率を利用して、改善に繋がるものをKPIとしましょう。
3. Empathyステージでやること
3-1. ちゃんと検証すべき部分を検証した?
リーンアナリティクスで紹介されている5つのステージの最初のステージがEmpathyステージです。
ここでは、 提供するビジネスやプロダクトの目的やゴール、解決したい問題と解決法、参入するマーケットを明確にしていきます。
大量のユーザーは必要ありません。
グロースハックについて考える必要もありません。
Acquisitionとはどうでもいいです。
ここでは以下の4つに注力して、仮説検証を繰り返し、ビジネスやプロダクトのコアをブラッシュアップしましょう。
①室の高いフィードバックを集める
②解決すべき問題を見つけ、初期の成長を支える要素を集めるために十分なソリューションを見つける
③GOOBする (Getting Out Of the Building) ④少なくとも15人にはヒアリングをする
②を実現するために、①③④の手法を使おうという感じです。
②が実現できていないまま、ユーザーを沢山集めることに注力しても意味はないです。
集まらないから。
つまり、Lean Startupと同様で、
最初のMVPの価値検証を行うこと「だけ」にフォーカスすることから始めよう!
それができたら次のステージいこうね!
ってことですね。
4. Stickinessステージでやること
最初のMVPの検証を行い、解決すべき問題を明確にして、それに対する十分なソリューションが構築されたら、
今度はそれを使ってくれているアーリーアダプターを 熱狂的なファンに変えることに注力しましょう。
プロダクトにべったりとはまってもらえるように機能改善を行うためのKPIを採用します。
熱狂的なファンとは、Retentionやエンゲージメントが高いユーザーのことを指します。
ユーザーの再訪率をあげるためには何をしたらいいのか?
このことだけ考えましょう。
ユーザーの数が増えたとかはどうでもいいです。PVとかもどうでもいいです(特定のプロダクトを除いて)。
MAU, WAU, DAU, 各機能に対する滞在時間をKPIとして設定しましょう。
それを通じてAUと非AUの切り替わりの原因や、使われていない機能(MVPではないもの)を選定して、
アーリーアダプターに対してどの機能が最も重要な訴求要素となっているかを見極めます。
キラーコンテンツをしっかり構築することだけを考えればOKです。
繰り返しますが、ボタンの色に関するA/Bテストとか、バイラルとか、ほっといていいです。
100万人のユーザーが1度だけ訪れるプロダクトよりも、100人のユーザーが定期的に使ってくれるプロダクトを目指しましょう。
5. Viralityステージでやること
このステージはユーザーの紹介の仕組み作りとかに関連するステージなので、結構みなさんが目にしているグロースハックの記事と同じです。
いわゆるグロースハックがここに該当します(正しいグロースハックだと、5のステージすべてに該当しますが)。
ここでは、一つだけ注意しておかなければいけない点だけを紹介しておきます。
Viralityステージでは、
AARRRモデルのAquisitionにフォーカスし、バイラル性を利用して新規ユーザーを大量にGETしよう!
という大目標があります。
一方で、既存ユーザーのStickiness(プロダクトへの熱狂度、ハマり具合)を維持しなければいけません。
この2つの目標を達成することがこのステージでのゴールなので、非常に難しいです。
なぜなら、アーリーアダプターであった既存ユーザーと、これから獲得を狙う新規ユーザーの層は大きく異なってくるからです。(中略)
自分たちのビジネスは何を解決したくて、どのようなソリューションを提供するのか?それによって達成したいゴールは何か?ビジョンはどのようなものか?
という点からブレイクダウンして考え、
Aquitisionの向上を再優先としながらも、既存ユーザーのStickinessを維持していく戦略を取りましょう、ってことです。
-過去の記事から引用
6. Revenue, Scaleステージ以降
ここまでの3つのステージがクリアになったら、利益や新たな投資ステージに移ります。
このRevenueとScaleステージに関しては、個人的に大した事が書いてなかったと思ったので、飛ばします。
7. まとめ
プロダクトをグロースさせるための順番に気をつけよう、とリーンアナリティクスは警笛を鳴らしてくれています。
バイラルが成功しない理由は、バイラルさせる仕組みに問題があるわけではなく、
意味の無いPVをKPIに設定し、その無意味なKPIが達成されたからバイラルさせようと思ったけど、実際はそれ以前の問題だった
ということが考えられます。
- プロダクトによってアーリーアダプターが十分な価値を得ているのか?
- 解決したい問題は明確か?
- ユーザーが満足するようなソリューションを提供できるか?
このようなことをまずは確認するようにしましょう。
ユーザーが沢山いることはスタートアップにおいて嬉しいと感じるかもしれませんが、
そればっかりに目が奪われて、足元を見失わないようにしなきゃねー!ってことをリーンアナリティクスは伝えてくれています。
Lean Analyticsを使ってこんなプロダクトを運営してます、ご興味あれば御覧ください。
Position Strategy by ffab0
Lean Analyticsに関する紹介記事を書いていたら、著者のAlistair Crollさんから突然メンション頂きました♪
@kiiita I saw your blog post—though Google Translate doesn’t translate Japanese very well. Thanks for writing about it! cc @byosko
— Alistair Croll (@acroll) 2014, 3月 13
引き続き引用付きで紹介しても問題ないかも確認しておきました。
@kiiita that would be awesome. Really appreciate you sharing the ideas with your audience. I'm writing @tiltmill now too.
— Alistair Croll (@acroll) 2014, 3月 15
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